【弁護士が観たドラマ】12回の死を通して知る「生の重み」——韓国ドラマ『もうすぐ死にます』
今回ご紹介するのは、韓国ドラマ『もうすぐ死にます』です(原作ウェブトゥーン)。思い通りにうまく運ばない自分の人生を悲観して、「俺にとって死とは終止符を打つための道具にすぎない…」と遺書を残して自ら死を選んだ主人公・チェ・イジェ(ソ・イングクさん)が、地獄に行く前に「死」(パク・ソダムさん)から、死を軽んじて道具のように扱ったことへの罰として、あと12回死ぬことを命じられ、12人の人間として死を迎える転生を体験するというお話です。
死後に死神から罰を受けるわけですが、「神と共に」のように生前の罪を糾弾する検事役もいなければ、味方になって擁護してくれる弁護人役もおらず、審判を下すための法廷らしきところもなく、イジェは、ただ裁判官にあたる「死」と同席し、「死」から一方的に罪と罰を宣告されます。
「死」が告げるには、イジェはこれから、間も無く死を迎える12人の人間に転生し、12回の死を体験するが、もし途中で死を回避できれば、その人物としてそのまま残りの人生を生き続けることができる、という逆転のチャンスがあるということでした。
そして、イジェは、申開きの機会も与えられないまま即座に第一の刑を執行され、再び生き、そして死に、「死」のところに戻ってはまた別の人物として生き、・・・という極限の恐怖と痛みを伴う12回の転生を繰り返すことになります。
この12回の転生の中で、イジェはさまざまな人物(財閥の御曹司やいじめられっ子の高校生、赤ちゃん、死刑囚、警察官、モデルなど、境遇も年齢も全く異なる人物たち)の人生を追体験し、することになります。
全8話と短いので、ぜひご覧になってもらえればと思います(なお、非常に残虐なシーンがあるので、小さなお子さんのいるご家庭でみんな揃って観るのには適さないので、くれぐれも、ご注意ください!)。

弁護士の視点から見る『もうすぐ死にます』
一見すると派手なファンタジー・サスペンスのように思える本作ですが、物語の根底には非常に重厚な死生観、死を通じて人が生きることについて問い直す深淵なテーマが流れています。法律家としても深く考えさせられるポイントがいくつもあります。
① 「自己決定権」と生命の尊厳
憲法や法学において、個人の尊重や自己決定権は尊重されますが、日本の法制度を含め、命そのものは「何ものにも代えがたい絶対的な価値」として保護されています。
主人公イジェは「自分の命だから、いつ捨てようが自分の自由だ」と考えて自死を選びました。しかし、12回の死を体験し、遺された家族や恋人の絶望的な悲しみに触れることで、自分の選択が周囲の人間や未来にどれほど大きな影響を及ぼしていたかを思い知らされます。THERE IS NO SPOONの関連記事(M27 死とは何か(神は、愛の神なのか死神なのか)で関連するテーマについて論じていますので、ご覧ください。
② 罪と罰、そして加害と被害のループ
作中では、社会的弱者を追い詰める暴力や、権力を悪用して罪を逃れようとする不条理な出来事が描かれます。法律が本来果たすべき「正義の実現」や「弱者の保護」が阻まれたとき、人はどのように傷つき、どのような復讐心や絶望を抱くのか。
弁護士として日々様々な紛争や事件に触れる中で、法的解決の裏側にある「当事者の心のケア」や「社会の理不尽さへの葛藤」に通じるリアリティを感じさせられます。
本作の見どころと魅力
- 豪華すぎるキャスト陣イジェが転生する12人の人物を演じるのは、イ・ドヒョンさん、イ・ジェウクさん、キム・ジフンさん、オ・ジョンセさん、キム・ジェウクさん、チェ・シウォンさん、コ・ユンジョンさんなど、主役級の豪華俳優陣(韓ドラ好きの方なら豪華さ加減がよくわかるはずです!)。それぞれが全く異なる人生と絶望を熱演しており、1話ごとに異なる人間ドラマを楽しむことができます。
- 巧みな伏線回収とサスペンス展開一見無関係に見える12人の人生が、物語が進むにつれて予想外の形で交錯していきます。スピード感あふれる展開と、緻密に張り巡らされた伏線に最後まで目が離せません。
- 「今ある人生」を見つめ直すメッセージ生死の境目を何度もくぐり抜ける中で描かれるのは、「当たり前のように明日が来るありがたさ」です。「死ぬ気になれば何でもできる」という言葉がありますが、本作は「生きていること自体が、どれほど奇跡的な選択の連続であるか」を強く訴えかけてきます。
おわりに
人生には、どうしても抱えきれないほどの悩みや、不条理な苦しみに直面する瞬間があります。法的なトラブルもまた、人の心や人生を大きく追い詰める要因となり得ます。
たいよう法律事務所では、法的トラブルが生じた際のリカバーだけでなく、顧問弁護士として、平常時から、お客さまが人生を旅する自分という馬車の奥で眠る主人を揺り起こして、本当の「自身の人生」を歩んでいけるよう、サポートすることを使命としています。
『もうすぐ死にます』は、ハラハラするエンターテインメントでありながら、見終わった後に「自分の人生を大切に生きよう」とあたたかい気持ちになれる傑作です。絶対に後悔しないとお約束します(勧めてくれてありがとう!と感謝してくださると思います)ので、週末の鑑賞に、ぜひ一気見をおすすめします!!
