If we desire respect for the law, we must first make the law respectable.
我々が人々に法を遵守させたいと願うなら、まず何よりも先に、尊敬に値する法を定めなければならない。

Louis D. Brandeis
ルイス・デンビッツ・ブランダイス(Louis Dembitz Brandeis 1856年11月13日 – 1941年10月5日 アメリカの法律家。ハーバード大学ロー・スクール教授。1916年、ウィルソン大統領によって、ユダヤ教徒最初の合衆国最高裁判所陪席判事に任命される。アメリカ労働法学の理論的基礎をなすような、多くの判決を下した。リベラルな立場からニュー・ディールの主な立法を合憲としたことが知られる。)
A musician must make music, an artist must paint, a poet must write, if he is to be ultimately at peace with himself.
もしその人が自分自身と究極的な平和を結びたいと思うなら、音楽家は音楽を奏でなければならないし、画家は絵画を描かなければならないし、詩人は詩を書かなければならない。
What a man can be, he must be.
人は、自分がなりうるものにならざるをえないのだ。
This need we may call self-actualization. . . . This tendency might be phrased as the desire to become more and more what one is, to become everything that one is capable of becoming.
この欲求のことを私たちは自己実現欲求と呼んでいいだろう。この自己実現を希求する人の傾向は、人はもっともっと自分らしい自分でありたい、自分の持てるすべての素質を開花させたい欲求と言い換えることができるかもしれない。

Abraham Maslow , Motivation and Personality
アブラハム・マズロー
The first reason for people’s slavery is our ignorance, and above all, our ignorance of ourselves.
人々が隷属状態に陥る1番の理由は、私たちの無知、それも何にもまして、私たちが自分自身について何も知らないことだ。

George Ivanovich Gurdjieff
グルジエフ
他人の魂の中に何が起こっているか気をつけていないからといって、そのために不幸になる人はそうそういるものではない。
しかし、自分自身の魂の動きを注意深く見守っていない人は必ず不幸になる。

Marcus Aurelius, Meditations
マルクス・アウレリウス(「自省録」)
Do exactly what you would do if you felt most secure.
自分は絶対に安全だと感じるときにあなたがなそうとすることを、今その通りになしなさい。

すべてが満ち足りた状態でもなお行動せずにはいられない物事こそが、あなたの心の底に眠る本当の価値観なのです。

今回は、7つの習慣の第2の習慣です。
1.もし、今日があなたの葬儀だとしたら
まず、邪魔が入らない静かな場所で、心を開いて想像してみてください。 あなたは今、ある愛する人の葬儀に参列するために車を走らせています。会場に着くと、静かなオルガン曲が流れ、故人の友人や家族が集まっています。彼らは別れの悲しみとともに、故人と知り合いであったことの喜びをかみしめています。
あなたは会場の前方に進み、棺の中を覗き込みます。すると、驚いたことに、そこにいたのは「あなた自身」でした。これは、今日から3年後に行われるあなたの葬儀なのです。
式が始まり、4人の人々があなたのために弔辞を述べます。 一人は家族(子供や兄弟、祖父母などの親族)。 二人は友人(あなたの人柄をよく知る人)。 三人は仕事の同僚。 四人は、あなたが奉仕活動を行ってきた教会や自治会などの組織の仲間です。
ここで、深く考えてみてください。 彼らに、あなたの人生をどのように語ってほしいでしょうか。 あなたは、どんな夫、どんな妻、どんな親であったと言われたいですか? 友人として、同僚として、どのような影響を彼らの人生に及ぼしたかったのでしょうか?
この葬儀の場面で、彼らに語ってもらいたい言葉こそが、あなたの「真の成功」の定義です。名声や財産、一時的な業績を得ることも大切かもしれませんが、人生の最期において本当に価値があるのは、あなたがどのような人物であり、どのような貢献をしたかという点に集約されます。この「終わり」を意識することで、自分自身の内面にある基本的な価値観に触れることができるのです。
2.すべてのものは「二度」つくられる
「終わりを思い描くことから始める」という習慣は、すべてのものは二度つくられるという原則に基づいています。
第一の創造は、頭の中での「知的創造」です。 第二の創造は、実際にかたちにする「物的創造」です。
例えば、家を建てる場面を想像してください。釘一本を打つ前に、まず詳細な設計図が必要です。どのような家を建てたいか、家族がどこに集まるのか、頭の中で具体的にイメージし、それを設計図に落とし込みます。これが第一の創造です。その設計図があって初めて、実際の建築という第二の創造が始まります。 もし設計図がないまま工事を始めれば、途中で何度も変更が必要になり、建設費用が膨れ上がり、取り返しのつかない失敗に繋がるでしょう。
これはビジネスも子育ても同じです。 ビジネスを成功させたいなら、何を達成したいのかを明確にし、マーケティングや資金計画を練る「第一の創造」が欠かせません。子育てにおいても、「自分に責任を持てる子に育てたい」という終わりを思い描いていれば、日々の接し方で子どもの自尊心を傷つけるような過ちは犯さないはずです。
もし私たちが、自覚を持ってこの「第一の創造」を行わなければ、自分の人生を他の人や状況に委ねてしまうことになります。他者が押しつける脚本どおりに生きるのではなく、自分の手で人生を描き直すことが重要なのです。
3.リーダーシップとマネジメントの違い
第2の習慣は「パーソナル・リーダーシップ」の原則です。ここで重要なのが、リーダーシップとマネジメントの違いを正しく理解することです。
- リーダーシップ(第一の創造): 「正しいことを行う」ための能力。トップライン(目標)にフォーカスし、何を達成したいのかを判断します。
- マネジメント(第二の創造): 「物事を正しく行う」ための能力。ボトムライン(結果)にフォーカスし、目標を達成するための手段を考えます。
ジャングルで道を切り拓くチームに例えるとわかりやすいでしょう。 マネージャーは、斧を研ぎ、スケジュールを組み、効率よく下草を刈る手順を決めます。しかし、リーダーは一番高い木に登り、全体を見渡して「このジャングルは違うぞ!」と叫ぶ役割です。
どれほど能率よく、速く成功への梯子を登ったとしても、その梯子が「間違った壁」に掛かっていたらどうなるでしょうか。登れば登るほど、あなたは望まない目的地に早く着いてしまうだけです。多忙な日々に追われる「活動の罠」にはまってしまう前に、自分自身のコンパスを確認するリーダーシップが必要なのです。
リーダーシップとマネジメント:二つの創造
第2の習慣は、自分の人生に自らがリーダーシップを発揮すること、つまりパーソナル・リーダーシップの原則に基づいている。リーダーシップは第一の創造である。リーダーシップとマネジメントは違う。マネジメントは第二の創造であり、これについては第3の習慣で取り上げる。まずは、リーダーシップがなくてはならない。
マネジメントはボトムライン(最終的な結果)にフォーカスし、目標を達成するための手段を考える。それに対してリーダーシップはトップライン(目標)にフォーカスし、何を達成したいのかを考える。ピーター・ドラッカー(訳注:米国の経営学者)とウォーレン・ベニス(訳注:米国の経営学者)の言葉を借りるなら、「マネジメントは正しく行うことであり、リーダーシップは正しいことを行う」となる。成功の梯子を効率的にうまく登れるようにするのがマネジメントであり、梯子が正しい壁に掛かっているかどうかを判断するのがリーダーシップである。

ジャングルの中で、手斧で道を切り拓いている作業チームを考えてみれば、リーダーシップとマネジメントの違いがすぐにわかるだろう。作業チームは生産に従事し、現場で問題を解決する人たちだ。彼らは実際に下草を刈って道を切り拓いていく。
マネジメントの役割はその後方にいて、斧の刃を研ぎ、方針や手順を決め、筋肉強化トレーニングを開発し、新しいテクノロジーを導入し、作業スケジュールと給与体系をつくる。
リーダーの役割はジャングルの中で一番高い木に登り、全体を見渡して、「このジャングルは違うぞ!」と叫ぶ。
だが仕事の役割に追われて効率しか見えない作業チームやマネージャーだったら、その叫び声を聞いても、「うるさい! 作業は進んでいるんだから黙ってろ」としか反応しないだろう。

私生活でも仕事でも、私たちは下草を刈る作業に追われるあまり、間違ったジャングルにいても気づかないことがある。あらゆる物事がめまぐるしく変化する現代においては、個人や人間関係のあらゆる側面においても、これまで以上にリーダーシップの重要性が増している。
私たちに必要なのは、はっきりとしたビジョン、明確な目的地である。そしてその目的地に到達するためには、ロードマップよりもコンパス(方向を示す原則)が要る。地形が実際にどうなっているのか、あるいは通れるのかは、その場その場で判断し問題を解決するしかない。しかし、自分の内面にあるコンパスを見れば、どんなときでも正しい方向を示してくれるのである。
個人の効果性は単に努力の量だけで決まるのではない。その努力が正しいジャングルで行われていなければ、生き延びることさえおぼつかなくなる。どの業界をとっても変革を求められている現代にあって、まず必要とされるのはリーダーシップである。マネジメントはその次だ。
ビジネスの世界では市場がめまぐるしく変化し、消費者の嗜好やニーズをとらえて大ヒットした製品やサービスがあっという間にすたれることも珍しくない。主体的で強力なリーダーシップによって絶えず消費者の購買行動や購買意欲など市場環境の変化を機敏にとらえ、正しい方向に経営資源を投じるのだ。
航空業界の規制緩和、医療費の急上昇、輸入車の品質向上と輸入量の激増。さまざまな変化が事業環境に大きな影響を及ぼしている。企業が事業環境全体を注視せず、正しい方向に進んでいくための創造的なリーダーシップを発揮しなかったなら、マネジメントがいかに優れていても、失敗は避けられない。
効率的なマネジメントは揃っているけれども効果的なリーダーシップのない状態は、ある人の言葉を借りれば「沈みゆくタイタニック号の甲板に椅子をきちんと並べるようなもの」である。マネジメントが完璧でもリーダーシップの欠如を補うことはできない。ところが、私たちはしばしばマネジメントのパラダイムにとらわれてしまうため、リーダーシップを発揮するのが難しくなってしまうのだ。
シアトルで一年間に及ぶ経営者能力開発プログラムを行ったときのことである。最終回の日、ある石油会社のトップが私に次のような話をしてくれた。
「プログラムの二ヵ月目に先生はリーダーシップとマネジメントの違いを話されましたね。あの後、私は社長としての自分の役割を考え直しました。自分がリーダーシップの役割を果たしてこなかったことに気づきましたよ。マネジメントばかりに気をとられ、差し迫った問題や日々の業務の管理にどっぷり浸かっていたんです。先生の話を聞いて決心しました。マネジメントから身を引く、マネジメントは他の社員に任せると。私はリーダーとして組織を率いなければなりませんからね。
最初は難しかったですね。これまでは、仕事といえば火急の問題を切り抜けることであり、それを突然やめたわけですからね、禁断症状が起きましたよ。前だったら、そういう問題を解決するとその場で達成感を味わえました。しかし会社の方向性や組織文化の構築、問題の徹底的な分析、新しいビジネスチャンスの発掘に取り組むようになってからは、何だかもの足りなかったんですよ。周りの社員もこれまでのやり方から抜け出ることができず、四苦八苦していました。以前なら私が何でも相談に乗り、問題を解決し、指示を出していたのですからね。彼らも大変だったと思いますよ。
でも私は頑張りました。リーダーシップは絶対に必要だと確信していましたから。そしてリーダーシップを発揮しました。おかげで会社はすっかり生まれ変わり、市場の変化に適応できるようになりました。売上高が倍増し、利益は四倍になりました。私はリーダーシップの領域に入ったのです」
あまりにも多くの親が、マネジメントのパラダイムにとらわれている。方向性や目的、家族の想いより、能率・効率やルールにとらわれている。

Stephen R. Covey
スティーブン・R.コヴィー(「完訳 7つの習慣 人格主義の回復」 第2の習慣 終わりを思い描くことから始める より)

4.人生の憲法:ミッション・ステートメント(じぶん憲法)を持つ
終わりを思い描くための最も効果的な方法は、自分自身の「ミッション・ステートメント(個人の憲法)」を書くことです。
これは、自分はどうありたいのか(人格)、何をしたいのか(貢献・功績)、そしてそれらの土台となる価値観や原則を書き記したものです。 国家に憲法があるように、個人にも憲法が必要です。合衆国憲法が、変化の激しい時代においても国を支える土台となったように、個人のミッション・ステートメントも、変化の渦中で感情に流されず、正しい決断を下すための不変の基準となります。
ミッション・ステートメントは一晩で書けるものではありません。数週間、時には数ヶ月かけて、自分の内面と深く向き合い、表現を吟味していくプロセスそのものが大切です。自分のミッションを意識できれば、人生を方向づけるビジョンが生まれ、主体性の本質が確立されます。
5.あなたの人生の「中心」には何がありますか?
ミッション・ステートメントを書くときは、自分の「中心」に何を置くかを考えなければなりません。中心にあるものは、私たちの「安定、指針、知恵、力」の源泉となります。 多くの人は、無意識のうちに以下のようなものを中心に置いてしまっていますが、それらは不安定な要因を孕んでいます。
- 配偶者中心: 相手の機嫌や態度に自分の幸せを委ねてしまい、強い依存心を生みます。
- 家族中心: 家族の評判や伝統に縛られ、子どもの長期的な成長よりも「その場で好かれたい」欲求を優先してしまうことがあります。
- お金中心: 経済的な不安に常に怯え、自尊心がお金の増減に左右されてしまいます。
- 仕事・所有物中心: 職業上のアイデンティティや所有物による社会的地位に依存し、それらを失う恐怖に支配されます。
- 敵中心: 特定の相手への憎しみや対立にエネルギーを使い、自分の人生を相手にコントロールさせてしまいます。
これらの中心はすべて、自分ではコントロールできない外部の要因に左右されるため、本当の意味での安定は得られません。
理想的なのは、「原則中心」の生き方です。 公正、誠実、正義といった不変の真理を人生の中心に据えれば、状況がどう変わろうとも、正しい地図を持って進むことができます。原則はあなたを裏切りません。原則を中心に置くことで、私たちは客観的に状況を判断し、主体的に最善の選択をする力を得ることができるのです。
6.右脳を活用し、脚本を書き直す
私たちは、過去の記憶や環境から与えられた「脚本」に従って生きてしまいがちです。しかし、人間には自覚、想像、良心という能力があります。これらを働かせることで、自分の脚本を書き直すことができるのです。
ミッション・ステートメントを実践する上で、創造を司る「右脳」の力が大きな助けになります。 例えば、自分の葬儀を想像したり、数十年後の結婚記念日をイメージしたりすることで、日常の些細な問題に隠されていた「本当に大切な価値観」に気づくことができます。
また、具体的な手法として「自己宣誓書」の作成があります。 「子供たちが良くない振る舞いをしたとき、私は自制心を持って愛情深く対応することに深い満足感を覚える」といった個人的・肯定的・現在形の誓いを書き、それをありありとイメージ(可視化)するのです。 トップアスリートが試合前に最高のパフォーマンスをイメージするように、私たちも理想の反応を頭の中でリハーサルすることで、実際の場面でも自分の価値観に沿った行動がとれるようになります。
7.役割と目標をバランスよく設定する
人生のミッションを実現するためには、自分の「役割」を明確にすることも効果的です。 個人として、夫や妻として、親として、仕事の専門家として、あるいは地域社会の一員として。
ミッション・ステートメントを書く際、これらの役割ごとに、達成したい長期的な目標を立ててみてください。 「仕事では大成功したが家族とは疎遠になった」というような不均衡を防ぎ、人生全体にバランスと調和をもたらすことができます。正しい原則に基づいた目標は、あなたに意味と目的を与え、日々の時間の使い方(第3の習慣)を支える強力な土台となります。
結びに:法的な解決を超えた「納得感」のために
法律問題という厳しい現実に直面しているときこそ、この「終わりを思い描く」習慣が重要になります。 「裁判で勝つこと」だけを目的にすると、その過程で大切な人間関係を完全に破壊してしまうかもしれません。しかし、自分のミッション・ステートメントに「誠実さ」や「家族の絆」が掲げられていれば、たとえ厳しい交渉中であっても、自分を失わずに最善の解決策を模索することができます。
第2の習慣のセルフ・リーダーシップは、とても重要です。
ヨーガの人間馬車説を以前にご紹介しましたが、馬車が本来向かうべき目的地を再確認して、主人から御者に指示を出し、正しい行程を辿るためには、馬車の奥で眠りこけている主人を揺り起こすことが必須です。第2の習慣は、このプロセスに関する習慣です(第8の習慣は、これに特化した書籍です)。
第2の習慣は、家庭や組織にも応用可能です。家族全員でミッション・ステートメントを作成すれば、それは家族を一つにまとめる憲法となり、危機に際しても正しい方向を指し示してくれます。
















